書評
『女性の品格』(PHP研究所)
トヨザキ的評価軸:
「金の斧(親を質に入れても買って読め)」
「銀の斧(図書館で借りられたら読めば―)」
◎「鉄の斧(ブックオフで100円で売っていても読むべからず)」
などなど、身に覚えのある指摘にグハァーッ。坂東眞理子女史のベストセラー『女性の品格』を読んで恥じ入るばかりのトヨザキでございます。
その他、
とか、まあ、基本的には間違ったことを言ってるわけではない正論本なんではありますが、東大卒業後、総理府(当時)に入省し、さまざまな要職を経て女性初総領事になり、現在は昭和女子大学学長を務めているという華やかな経歴で明らかなように、自分の力で勝ち上がってきたエリートならではのピントのずれた発言も多いんですの。
自分の弱い部分や醜い部分をさらすのはみっともないから、悩み事は友人や身内にではなく身の上相談に匿名で相談しろとか、バーゲンで掘り出し物をあさるのはみっともないとか、〈自分より弱い立場の人にどういう態度をとるかで、その人間の本性がにじみ出ます〉と説いているわりには、弱者や貧者の気持ちを考えない発言が頻出。
仕事に振り回されるなと説く項では、〈働く人数が少なくて物理的に仕事があふれているなら、まず人数を増やすように上司に求めなければなりません〉だの〈次に必要なのは、仕事を減らすことです〉だの、”持てる者”の能天気な理想論を展開。苦笑する他ありません。タイトルをパクったくせに、武士道をイギリスの紳士道の下に置くことで『国家の品格』を椰楡したり、いかに自分が世間に必要とされ、役づきの仕事やパーティにひっぱりだこかをさりげなく自慢してみせるのも、それこそ人としての品格を疑います。
わたしが膝を打ったのはこんな提言。
おっしゃるとおりでございますっ! というわけで、御著書の中で手垢まみれの格言を使いがちな坂東先生には、「人の振り見て我が振り直せ」という言葉をお贈りしとうございますの。
【この書評が収録されている書籍】
「金の斧(親を質に入れても買って読め)」
「銀の斧(図書館で借りられたら読めば―)」
◎「鉄の斧(ブックオフで100円で売っていても読むべからず)」
“持てる者”の能天気な理想論に苦笑するほかありません
〈相手の気持ちに配慮せず、ずけずけと言いにくいことを面と向かって言うことを売りにしている女性もいますが、尊敬されるより恐れられているので注意しましょう〉〈誰も見ていないからと外見にかまわないのは女性としての自殺行為です〉
などなど、身に覚えのある指摘にグハァーッ。坂東眞理子女史のベストセラー『女性の品格』を読んで恥じ入るばかりのトヨザキでございます。
その他、
〈女性のなかでも器用な人は、時流に乗ろうとして権力者に取り入り、権力者に媚び、権力のおこぼれに与ろうとしますが、これは人間としての品格を疑わせます〉〈いじめられている人を見て見ぬふりをしているのは加害者の一員です。(中略)悪いことを見て見ぬふりをしないように努めましょう〉
とか、まあ、基本的には間違ったことを言ってるわけではない正論本なんではありますが、東大卒業後、総理府(当時)に入省し、さまざまな要職を経て女性初総領事になり、現在は昭和女子大学学長を務めているという華やかな経歴で明らかなように、自分の力で勝ち上がってきたエリートならではのピントのずれた発言も多いんですの。
自分の弱い部分や醜い部分をさらすのはみっともないから、悩み事は友人や身内にではなく身の上相談に匿名で相談しろとか、バーゲンで掘り出し物をあさるのはみっともないとか、〈自分より弱い立場の人にどういう態度をとるかで、その人間の本性がにじみ出ます〉と説いているわりには、弱者や貧者の気持ちを考えない発言が頻出。
仕事に振り回されるなと説く項では、〈働く人数が少なくて物理的に仕事があふれているなら、まず人数を増やすように上司に求めなければなりません〉だの〈次に必要なのは、仕事を減らすことです〉だの、”持てる者”の能天気な理想論を展開。苦笑する他ありません。タイトルをパクったくせに、武士道をイギリスの紳士道の下に置くことで『国家の品格』を椰楡したり、いかに自分が世間に必要とされ、役づきの仕事やパーティにひっぱりだこかをさりげなく自慢してみせるのも、それこそ人としての品格を疑います。
わたしが膝を打ったのはこんな提言。
〈ベストセラーや話題のハウツーものをどんどん読み捨てて、題名さえ覚えていない読書をしていては、人生は豊かになりません〉
おっしゃるとおりでございますっ! というわけで、御著書の中で手垢まみれの格言を使いがちな坂東先生には、「人の振り見て我が振り直せ」という言葉をお贈りしとうございますの。
【この書評が収録されている書籍】
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