内容紹介
『警視庁草紙〈上〉―山田風太郎明治小説全集〈1〉』(筑摩書房)
私はつくづく男が好きなのだと思う。風太郎小説をなぜ読むのかといったら、それは何よりもまず〈凄い男〉がおおぜい出てくるからだと思うもの。
男の美徳と悪徳を、強さと弱さを、気高さとマヌケさを……すべてを濃密に煮詰めた男たちが出てくる。明治というめちゃくちゃな時代を生きた、めちゃくちゃな男たち。偉人伝などという行儀のいい言葉にはおさまりきらない、もっと強烈な生理を持った野郎たち。怪人伝あるいは(風太郎好みの言葉で言うなら)妖人伝だ。たとえば……『警視庁草紙』の稀代のマキャベリスト川路利良の、あの「食えないおやじ」ぶりに、私はわくわくしてしまう。通俗にして低俗にあらず。過激にして愛敬あり。
男たちの多くは横死、犬死に、無駄死にをする。風太郎は言う。「人の世すべてかくのごとし」。風太郎小説には「溜息のあとの薄笑い」「号泣のあとの哄笑」といった感触が残る。そこも、好きだ。
(『山田風太郎明治小説全集』刊行によせて)
【この内容紹介が収録されている書籍】
男の美徳と悪徳を、強さと弱さを、気高さとマヌケさを……すべてを濃密に煮詰めた男たちが出てくる。明治というめちゃくちゃな時代を生きた、めちゃくちゃな男たち。偉人伝などという行儀のいい言葉にはおさまりきらない、もっと強烈な生理を持った野郎たち。怪人伝あるいは(風太郎好みの言葉で言うなら)妖人伝だ。たとえば……『警視庁草紙』の稀代のマキャベリスト川路利良の、あの「食えないおやじ」ぶりに、私はわくわくしてしまう。通俗にして低俗にあらず。過激にして愛敬あり。
男たちの多くは横死、犬死に、無駄死にをする。風太郎は言う。「人の世すべてかくのごとし」。風太郎小説には「溜息のあとの薄笑い」「号泣のあとの哄笑」といった感触が残る。そこも、好きだ。
(『山田風太郎明治小説全集』刊行によせて)
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