書評
『大学の使命を問う』(藤原書店)
かつて「知の殿堂」とよばれた大学だが、陰ながら「文系学部は廃止せよ」とまでささやかれるほど落ちぶれたのだろうか。たしかに現実の社会のなかで、理系の学問は実用化され、世の中で役立っていることは自明である。とはいえ、理系の方々から「文系も重要です」とか「文系だって役に立ちます」という言葉が出れば、違和感が残る。「も」や「だって」の言外には、どうやら「理系/文系」の図式と「男/女」の図式とが相似形をなすとは著者の鋭利な感性が浮きぼりになる。
しばしば欧米の大学は「入りやすく出にくい」が、日本の大学は「入りにくく出やすい」と言われる。無事入学した学生は4年間ほとんど勉強もせず卒業する。やりたいことを見つけて頑張るという心構えが育たないのだ。この現状をどのように改革していくかが今後の大学教育の眼目になるのだが、この歴然たる事実があまりにも等閑(なおざり)にされている。
冷静に事実を観察し、批判的に真実を感知する。その姿勢を養うことが今も大学の使命にちがいない。教育・研究・行政の現場にあった著者ならではの議論、だからこそ説得力がある。
しばしば欧米の大学は「入りやすく出にくい」が、日本の大学は「入りにくく出やすい」と言われる。無事入学した学生は4年間ほとんど勉強もせず卒業する。やりたいことを見つけて頑張るという心構えが育たないのだ。この現状をどのように改革していくかが今後の大学教育の眼目になるのだが、この歴然たる事実があまりにも等閑(なおざり)にされている。
冷静に事実を観察し、批判的に真実を感知する。その姿勢を養うことが今も大学の使命にちがいない。教育・研究・行政の現場にあった著者ならではの議論、だからこそ説得力がある。
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