書評

『Time in Maps 地図に刻まれた時間』(ニュートンプレス)

  • 2025/11/25
Time in Maps 地図に刻まれた時間 / ケーレン・ヴィーゲン,キャロライン・ウィンタラー
Time in Maps 地図に刻まれた時間
  • 著者:ケーレン・ヴィーゲン,キャロライン・ウィンタラー
  • 翻訳:藤崎衛(監訳),松川琢哉
  • 出版社:ニュートンプレス
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(216ページ)
  • 発売日:2025-08-25
  • ISBN-10:4315529524
  • ISBN-13:978-4315529524
内容紹介:
地図は単に,地形や空間を視覚的に描くだけでなく,「時間」も表すことができます。ヨーロッパ,アメリカ合衆国,南アメリカ,そして日本をはじめとするアジアで作成された地図は,実に独創的… もっと読む
地図は単に,地形や空間を視覚的に描くだけでなく,「時間」も表すことができます。ヨーロッパ,アメリカ合衆国,南アメリカ,そして日本をはじめとするアジアで作成された地図は,実に独創的で刺激に満ちた方法を使って時間を表現してきました。

本書は,過去500年間の世界中の地図を対象に,地図がどのように時間を表現してきたのかを解き明かしていきます。テノチティトランの創建を記録したアステカ人,ノスタルジックな景観を地図に表現した近世日本人,ディープタイムという新たな概念を取り込んだ19世紀アメリカ人。本書に掲載された100点を超える地図とイラストは,地図における時間表現の多様性を雄弁に物語っています。

「時間」という視点から見えてくる地図の隠された魅力とは? 9人の研究者による9つの刺激的な論考を通して,地図が語る時間の世界をお楽しみください。

もくじ:
序 章 地図は時を語る
第1章 20世紀(および21世紀)における地図の時間

第1部 アジア太平洋
第2章 近世日本における過去の位置づけ
第3章 中国と朝鮮のイエズス会地図:過去と現在の接続

第2部 大西洋世界
第4章 アステカ帝国の地図に描かれた歴史
第5章 時のベールを剥ぐ:17~18世紀における地図,比喩,好古趣味
第6章 言語の地図

第3部 アメリカ合衆国
第7章 アメリカ初のディープタイム地図
第8章 場所はいかにしてプロセスとなったか:アメリカにおける時間の地図化の起源
第9章 時間,旅,および戦争景観の地図化
長い年月に多くの地図がつくられてきたが、今日でも「空間と違って、時間は腹立たしいほど捉えどころがない」と感じられる。地図そのものは人類最古の社会からあったらしい。

だが、地図の量、種類、分布が急増したのは一四五〇年頃からだった。コロンブス以後のアメリカと近世の日本の史料を調査すると、地球の反対側にありながら、歴史地図の製作がほぼ同時期に流行していたという。歴史地図の必要さは、夢・恐怖・発見・災害などのさまざまな動機があるが、その背景にはグローバル時代が迫っていたことがある。十五世紀半ば以降の地図は、いずれの地域にあっても、人間の棲息(せいそく)する空間を探究する道具だったことがわかる。

すべての地図には時間の刻印があり、日付を無視しても永遠を装っても、例外はないという。ライバルや先住民を消し去っても、集団的記憶は生き残り、拭い去ることはできない。本書はさまざまな地域や時代をあつかう研究者たちの論考集であるが、地図が時間を伝える重要な史料であること、その知的営みにあらためて気づかせてくれるだろう。
Time in Maps 地図に刻まれた時間 / ケーレン・ヴィーゲン,キャロライン・ウィンタラー
Time in Maps 地図に刻まれた時間
  • 著者:ケーレン・ヴィーゲン,キャロライン・ウィンタラー
  • 翻訳:藤崎衛(監訳),松川琢哉
  • 出版社:ニュートンプレス
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(216ページ)
  • 発売日:2025-08-25
  • ISBN-10:4315529524
  • ISBN-13:978-4315529524
内容紹介:
地図は単に,地形や空間を視覚的に描くだけでなく,「時間」も表すことができます。ヨーロッパ,アメリカ合衆国,南アメリカ,そして日本をはじめとするアジアで作成された地図は,実に独創的… もっと読む
地図は単に,地形や空間を視覚的に描くだけでなく,「時間」も表すことができます。ヨーロッパ,アメリカ合衆国,南アメリカ,そして日本をはじめとするアジアで作成された地図は,実に独創的で刺激に満ちた方法を使って時間を表現してきました。

本書は,過去500年間の世界中の地図を対象に,地図がどのように時間を表現してきたのかを解き明かしていきます。テノチティトランの創建を記録したアステカ人,ノスタルジックな景観を地図に表現した近世日本人,ディープタイムという新たな概念を取り込んだ19世紀アメリカ人。本書に掲載された100点を超える地図とイラストは,地図における時間表現の多様性を雄弁に物語っています。

「時間」という視点から見えてくる地図の隠された魅力とは? 9人の研究者による9つの刺激的な論考を通して,地図が語る時間の世界をお楽しみください。

もくじ:
序 章 地図は時を語る
第1章 20世紀(および21世紀)における地図の時間

第1部 アジア太平洋
第2章 近世日本における過去の位置づけ
第3章 中国と朝鮮のイエズス会地図:過去と現在の接続

第2部 大西洋世界
第4章 アステカ帝国の地図に描かれた歴史
第5章 時のベールを剥ぐ:17~18世紀における地図,比喩,好古趣味
第6章 言語の地図

第3部 アメリカ合衆国
第7章 アメリカ初のディープタイム地図
第8章 場所はいかにしてプロセスとなったか:アメリカにおける時間の地図化の起源
第9章 時間,旅,および戦争景観の地図化

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2025年11月22日

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