書評

『タリバン・フェミニズム リベラルと保守の対立をこえて』(ベストセラーズ)

  • 2026/06/22
タリバン・フェミニズム リベラルと保守の対立をこえて / 中田 考
タリバン・フェミニズム リベラルと保守の対立をこえて
  • 著者:中田 考
  • 出版社:ベストセラーズ
  • 装丁:新書(340ページ)
  • 発売日:2026-04-21
  • ISBN-10:4584126216
  • ISBN-13:978-4584126219
内容紹介:
イスラーム研究の第一人者がフェミニズムを学ぶと、西洋中心主義の欺瞞が見えてきた。本書では、男性から女性への敬意に基づくタリバンの女性観を「タリバン・フェミニズム」と名付け、西洋発… もっと読む
イスラーム研究の第一人者がフェミニズムを学ぶと、西洋中心主義の欺瞞が見えてきた。
本書では、男性から女性への敬意に基づくタリバンの女性観を「タリバン・フェミニズム」と名付け、西洋発祥のフェミニズム理論に真っ向から対決を挑む。
第1部「フェミニズム」では、西洋中心のフェミニズム史を概観。第2部「タリバン・フェミニズム」では、タリバンの思想と本当の女性観をわかりやすく解説する。日本でもブームになっているフェミニズムだが、全く異なる視点から見つめると、タリバンなど第三世界の伝統を仮想敵に仕立ててきたフェミニズム理論の、偏りと脆さが浮き彫りになっていく。
タリバンは女性教育を禁じていない。「他人の男女」を隔離する納得の理由とは?目から鱗が落ちる挑戦の書。

目次

まえがき



第1部:フェミニズム

第1章 フェミニズムとは何か
1.「フェミニズム」という言葉はいつ生まれたのか?
2.イスラーム学の古典に「フェミニズム」にあたる言葉はない
3.まずはAIに聞いてみよう

第2章 フェミニズムの始まり
1.『ジェンダー論をつかむ』
2.欧米、日本におけるフェミニズムの始まり
3.イスラーム世界におけるフェミニズムの始まり

第3章 第二波フェミニズム
1.第二波フェミニズムとは
2.インターセクショナリティ
3.中ピ連

第4章 ポストコロニアル・フェミニズム
1.ブラック・フェミニズムからポストコロニアル・フェミニズムへ
2.ヴェールは女性支配の証拠か
3.クィア理論への展開

第5章 第四波フェミニズム?
1.第四波フェミニズムに至る流れ
2.ハッシュタグ・アクティヴィズム
3.日本における流れ

第6章 ネオリベラル・フェミニズム
1.「ネオリベラリズム」とは?
2.リーン・イン・フェミニズム
3.リーン・アウト、あるいは99%のためのフェミニズム

第7章 「ジェンダー」概念のおさらい
1.セックスとは何か
2.ジェンダーとは何か
3.セクシュアリティとは何か

第8章 クィア理論の発展
1.アイデンティティ・ポリティクス
2.ターフ戦争
3.トランス主義

第9章 カオスのフェミニズム
1.ジェンダー・バックラッシュ
2.ツイフェミ
3.矯風会2.0

第10章 第三世界フェミニズムの展開
1.第三世界フェミニズム
2.カルチュラル・フェミニズム
3.イスラーム・フェミニズム

第2部:タリバン・フェミニズム

第1章 タリバンとアフガニスタン
1.アフガニスタンの現在
2.タリバンとは何か
3.ヴァージョンアップしたタリバンの真価

第2章 タリバンと女子教育
1.デオバンド学派とダルスィ・ニザーミー
2.女子教育と女子マドラサ
3.タリバン・フェミニズムの梗概

第3章 タリバン・フェミニズムの思想史的意義
1.なぜ西洋は女性問題でタリバンを攻撃するのか
2.タリバン・フェミニズムの陰画としてのラワー
3.フェミニズムの位相転換

第4章 タリバン・フェミニズムの普遍性と特殊性
1.サイレント・マジョリティのフェミニズム
2.シャリーアの立法目的
3.タリバン・フェミニズムの普遍性と特殊性

第5章 真のイスラーム法とは何か
1.西洋法とイスラーム法
2.この世は来世での審判を恐れて待つ試練の場
3.旧政権の政治制度を試行錯誤、行き当たりばったりで使いまわすタリバン政権

第6章 思慕と希求のタリバン・フェミニズム
1.人間の価値
2.ミメーシス欲望と敬仰の起動
3.敬仰と試練

第7章 タリバン・フェミニズムの時空間的前提
1.必要悪としての平等
2.空間的差異の決定的重要性
3.時間的差異の真義

第8章 タリバン・フェミニズムの理想
1.選択の自由と修道
2.勧善懲悪の理想と現実
3.修道と他者との共存

第9章 相対主義的相対主義
1.性的多様性と価値相対主義
2.相対的相対主義
3.西洋のサイレント・マジョリティの中庸なフェミニズムとの収斂

第10章 人類の未来への希望の灯台としてのタリバン
1.帝国ブロックのバランサーとしての「シン・ムガル帝国」
2.先生はえらい
3.国際秩序再編のモデルとしての第二次タリバン政権
「タリバンは女子を学校に行かせない、けしからん!」西側の報道の定番だ。本当にそうか。著者はまずフェミニズムをいちから勉強し、第Ⅰ部にまとめた。第Ⅱ部は、そもそもタリバンは…、を徹底考察。結論は、不当な言いがかり、である。

著者・中田考氏は、イスラム法学が専門のムスリム。西側メディアに惑わされない論考で定評がある。

著者は言う。タリバンの本質とは≪イスラーム学者集団≫で教育者。無神論のソ連の侵略や西側のもたらす腐敗と混乱に抗し、武器をとって戦ってきた。≪スンナ派…の中のハナフィー学派に属する≫デオバンド学派、つまり≪近代主義的イスラーム改革運動≫だ。教育にも力を入れマドラサ(イスラム式の学校)の数が洋式学校より増えている。≪タリバン・フェミニズムは、男女の性差を当然の前提とし≫、イスラムの教えに従って女性を保護するのだ。

西側フェミニズムは≪「ジェンダー」「平等」「自由」「多様性」といった…世俗主義的世界観に由来≫する。その物差しをイスラム世界に押しつけるだけでいいのか。タリバンを一例に、世界を正しくみつめる難しさを反省させる良書である。
タリバン・フェミニズム リベラルと保守の対立をこえて / 中田 考
タリバン・フェミニズム リベラルと保守の対立をこえて
  • 著者:中田 考
  • 出版社:ベストセラーズ
  • 装丁:新書(340ページ)
  • 発売日:2026-04-21
  • ISBN-10:4584126216
  • ISBN-13:978-4584126219
内容紹介:
イスラーム研究の第一人者がフェミニズムを学ぶと、西洋中心主義の欺瞞が見えてきた。本書では、男性から女性への敬意に基づくタリバンの女性観を「タリバン・フェミニズム」と名付け、西洋発… もっと読む
イスラーム研究の第一人者がフェミニズムを学ぶと、西洋中心主義の欺瞞が見えてきた。
本書では、男性から女性への敬意に基づくタリバンの女性観を「タリバン・フェミニズム」と名付け、西洋発祥のフェミニズム理論に真っ向から対決を挑む。
第1部「フェミニズム」では、西洋中心のフェミニズム史を概観。第2部「タリバン・フェミニズム」では、タリバンの思想と本当の女性観をわかりやすく解説する。日本でもブームになっているフェミニズムだが、全く異なる視点から見つめると、タリバンなど第三世界の伝統を仮想敵に仕立ててきたフェミニズム理論の、偏りと脆さが浮き彫りになっていく。
タリバンは女性教育を禁じていない。「他人の男女」を隔離する納得の理由とは?目から鱗が落ちる挑戦の書。

目次

まえがき



第1部:フェミニズム

第1章 フェミニズムとは何か
1.「フェミニズム」という言葉はいつ生まれたのか?
2.イスラーム学の古典に「フェミニズム」にあたる言葉はない
3.まずはAIに聞いてみよう

第2章 フェミニズムの始まり
1.『ジェンダー論をつかむ』
2.欧米、日本におけるフェミニズムの始まり
3.イスラーム世界におけるフェミニズムの始まり

第3章 第二波フェミニズム
1.第二波フェミニズムとは
2.インターセクショナリティ
3.中ピ連

第4章 ポストコロニアル・フェミニズム
1.ブラック・フェミニズムからポストコロニアル・フェミニズムへ
2.ヴェールは女性支配の証拠か
3.クィア理論への展開

第5章 第四波フェミニズム?
1.第四波フェミニズムに至る流れ
2.ハッシュタグ・アクティヴィズム
3.日本における流れ

第6章 ネオリベラル・フェミニズム
1.「ネオリベラリズム」とは?
2.リーン・イン・フェミニズム
3.リーン・アウト、あるいは99%のためのフェミニズム

第7章 「ジェンダー」概念のおさらい
1.セックスとは何か
2.ジェンダーとは何か
3.セクシュアリティとは何か

第8章 クィア理論の発展
1.アイデンティティ・ポリティクス
2.ターフ戦争
3.トランス主義

第9章 カオスのフェミニズム
1.ジェンダー・バックラッシュ
2.ツイフェミ
3.矯風会2.0

第10章 第三世界フェミニズムの展開
1.第三世界フェミニズム
2.カルチュラル・フェミニズム
3.イスラーム・フェミニズム

第2部:タリバン・フェミニズム

第1章 タリバンとアフガニスタン
1.アフガニスタンの現在
2.タリバンとは何か
3.ヴァージョンアップしたタリバンの真価

第2章 タリバンと女子教育
1.デオバンド学派とダルスィ・ニザーミー
2.女子教育と女子マドラサ
3.タリバン・フェミニズムの梗概

第3章 タリバン・フェミニズムの思想史的意義
1.なぜ西洋は女性問題でタリバンを攻撃するのか
2.タリバン・フェミニズムの陰画としてのラワー
3.フェミニズムの位相転換

第4章 タリバン・フェミニズムの普遍性と特殊性
1.サイレント・マジョリティのフェミニズム
2.シャリーアの立法目的
3.タリバン・フェミニズムの普遍性と特殊性

第5章 真のイスラーム法とは何か
1.西洋法とイスラーム法
2.この世は来世での審判を恐れて待つ試練の場
3.旧政権の政治制度を試行錯誤、行き当たりばったりで使いまわすタリバン政権

第6章 思慕と希求のタリバン・フェミニズム
1.人間の価値
2.ミメーシス欲望と敬仰の起動
3.敬仰と試練

第7章 タリバン・フェミニズムの時空間的前提
1.必要悪としての平等
2.空間的差異の決定的重要性
3.時間的差異の真義

第8章 タリバン・フェミニズムの理想
1.選択の自由と修道
2.勧善懲悪の理想と現実
3.修道と他者との共存

第9章 相対主義的相対主義
1.性的多様性と価値相対主義
2.相対的相対主義
3.西洋のサイレント・マジョリティの中庸なフェミニズムとの収斂

第10章 人類の未来への希望の灯台としてのタリバン
1.帝国ブロックのバランサーとしての「シン・ムガル帝国」
2.先生はえらい
3.国際秩序再編のモデルとしての第二次タリバン政権

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2026年6月20日

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