書評

『維摩経とは何か 空・不二・中道から読むブッダの思想』(中央公論新社)

  • 2026/09/07
維摩経とは何か 空・不二・中道から読むブッダの思想 / 植木 雅俊
維摩経とは何か 空・不二・中道から読むブッダの思想
  • 著者:植木 雅俊
  • 出版社:中央公論新社
  • 装丁:新書(320ページ)
  • 発売日:2026-05-22
  • ISBN-10:4121029119
  • ISBN-13:978-4121029119
内容紹介:
『維摩経』は一世紀末に著された初期大乗仏典である。釈尊の入滅から約五百年後、仏教界が保守化、権威主義化した。その反省から生まれたのが大乗仏教運動であり維摩経である。聖徳太子が注釈… もっと読む
『維摩経』は一世紀末に著された初期大乗仏典である。
釈尊の入滅から約五百年後、仏教界が保守化、権威主義化した。その反省から生まれたのが大乗仏教運動であり維摩経である。聖徳太子が注釈書を記すなど日本でも重視されてきた。
本書は二〇世紀末に発見されたサンスクリット写本を著者自ら翻訳・精読。仏典に書かれた戯曲的な記述の意味、在家主義、男女平等について、空・不二・中道の思想などを平易に解説する。


■目 次■
はしがき
Ⅰ 『維摩経』の基礎知識
1 主人公、ヴィマラキールティについて
2 商業都市ヴァイシャーリーについて
3 アームラパーリーとその園林
4 題号の意味
5 『維摩経』と『法華経』に至るインド仏教史の概略

Ⅱ サンスクリット写本と諸翻訳間の異同
1 漢訳の七訳三存四欠
2 古訳・旧訳・新訳の比較
3 サンスクリット写本の発見とその出版
4 『維摩経』貝葉写本の校訂と現代語訳

Ⅲ 『維摩経』各章の思想
1 第一幕=アームラパーリーの園林にて
第一章 ブッダの国土の浄化(仏国品第一)
第二章 考えも及ばない巧みなる方便(方便品第二)
第三章 声聞と菩薩に見舞い派遣を問う=前半(弟子品第三)
第三章 声聞と菩薩に見舞い派遣を問う=後半(菩薩品第四)

2 第二幕=ヴィマラキールティの邸宅にて
第四章 病気の慰問(文殊師利問疾品第五)
第五章〝不可思議〞という解脱の顕現(不思議品第六)
第六章 天女(観衆生品第七)
第七章 如来の家系(仏道品第八)
第八章 不二の法門に入ること(入不二法門品第九)
第九章 化作された菩薩による食べ物の請来(香積仏品第十)

3 第三幕=再びアームラパーリーの園林にて
第十章 「尽きることと尽きないこと」という法の施し(菩薩行品第十一)
第十一章 〝不動であるもの〞という如来との会見(見阿閦仏品第十二)
第十二章 結論と付嘱=前半(法供養品第十三)
第十二章 結論と付嘱=後半(嘱累品第十四)

Ⅳ 『維摩経』の人間主義
1 大乗仏教における在家の復権
2 「空」による現実肯定の思想
3 「空」の思想と政治活動
4 自立した女性像を描く
5 言葉の限界性と必然性
6 マイトレーヤ菩薩への皮肉

Ⅴ 『維摩経』と『法華経』が現代に問いかけるもの
1 自在に社会貢献する菩薩を待望
2 AIの台頭と仏教の役割

あとがき
参考文献

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

聖徳太子が著した『三経義疏(ぎしょ)』の一つに『維摩経義疏』という注釈書がある。本書はその原典の内容と意義について、新しい知見を踏まえて詳しく解説したものである。

『維摩経』は三幕戯曲のような形を取っており、古代インドの商業都市ヴァイシャーリーがその舞台になっている。主要な登場人物は在家菩薩のヴィマラキールティで、その名前は「維摩」や「維摩詰」と漢訳された。原典のサンスクリット語の名称は「ヴィマラキールティの教え」との意味で、鳩摩羅什(くまらじゅう)訳『維摩詰所説経』にちなんで、『維摩経』と通称されている。

インド仏教史の流れにおいてこの経典の意義を読み解いたのが本書の特色である。伝統的・保守的な小乗仏教を批判し、大乗仏教を宣伝する目的で編纂(へんさん)された『維摩経』はどのような時代背景のもとに成立したか。如何(いか)なる宗教思想を伝えようとしているか。また、同じ大乗仏教経典でも、さきの時代に成立した『般若経』と、後の『法華経』とどこが違うか。それらの問題について、具体例を挙げながら、詳細に紹介されている。仏教の奥深さを知るための、手近な道案内である。
維摩経とは何か 空・不二・中道から読むブッダの思想 / 植木 雅俊
維摩経とは何か 空・不二・中道から読むブッダの思想
  • 著者:植木 雅俊
  • 出版社:中央公論新社
  • 装丁:新書(320ページ)
  • 発売日:2026-05-22
  • ISBN-10:4121029119
  • ISBN-13:978-4121029119
内容紹介:
『維摩経』は一世紀末に著された初期大乗仏典である。釈尊の入滅から約五百年後、仏教界が保守化、権威主義化した。その反省から生まれたのが大乗仏教運動であり維摩経である。聖徳太子が注釈… もっと読む
『維摩経』は一世紀末に著された初期大乗仏典である。
釈尊の入滅から約五百年後、仏教界が保守化、権威主義化した。その反省から生まれたのが大乗仏教運動であり維摩経である。聖徳太子が注釈書を記すなど日本でも重視されてきた。
本書は二〇世紀末に発見されたサンスクリット写本を著者自ら翻訳・精読。仏典に書かれた戯曲的な記述の意味、在家主義、男女平等について、空・不二・中道の思想などを平易に解説する。


■目 次■
はしがき
Ⅰ 『維摩経』の基礎知識
1 主人公、ヴィマラキールティについて
2 商業都市ヴァイシャーリーについて
3 アームラパーリーとその園林
4 題号の意味
5 『維摩経』と『法華経』に至るインド仏教史の概略

Ⅱ サンスクリット写本と諸翻訳間の異同
1 漢訳の七訳三存四欠
2 古訳・旧訳・新訳の比較
3 サンスクリット写本の発見とその出版
4 『維摩経』貝葉写本の校訂と現代語訳

Ⅲ 『維摩経』各章の思想
1 第一幕=アームラパーリーの園林にて
第一章 ブッダの国土の浄化(仏国品第一)
第二章 考えも及ばない巧みなる方便(方便品第二)
第三章 声聞と菩薩に見舞い派遣を問う=前半(弟子品第三)
第三章 声聞と菩薩に見舞い派遣を問う=後半(菩薩品第四)

2 第二幕=ヴィマラキールティの邸宅にて
第四章 病気の慰問(文殊師利問疾品第五)
第五章〝不可思議〞という解脱の顕現(不思議品第六)
第六章 天女(観衆生品第七)
第七章 如来の家系(仏道品第八)
第八章 不二の法門に入ること(入不二法門品第九)
第九章 化作された菩薩による食べ物の請来(香積仏品第十)

3 第三幕=再びアームラパーリーの園林にて
第十章 「尽きることと尽きないこと」という法の施し(菩薩行品第十一)
第十一章 〝不動であるもの〞という如来との会見(見阿閦仏品第十二)
第十二章 結論と付嘱=前半(法供養品第十三)
第十二章 結論と付嘱=後半(嘱累品第十四)

Ⅳ 『維摩経』の人間主義
1 大乗仏教における在家の復権
2 「空」による現実肯定の思想
3 「空」の思想と政治活動
4 自立した女性像を描く
5 言葉の限界性と必然性
6 マイトレーヤ菩薩への皮肉

Ⅴ 『維摩経』と『法華経』が現代に問いかけるもの
1 自在に社会貢献する菩薩を待望
2 AIの台頭と仏教の役割

あとがき
参考文献

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2026年9月5日

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