鹿島 茂SHIGERU KASHIMA

民主主義の功罪を予見した「若者」冷戦以前、トクヴィルは民主政治の必然を認めながら社会主義を敵視した保守的歴史家として扱われていたが、冷戦以…

「集団の夢」の形として読み解く「社会美術史」ベンヤミンは『パサージュ論』で、資本主義とは、個人の意識は目覚めて活動しているのに集団意識は深…

欧州宮廷が服従した「モード大臣」の時代一昔前にはフランス革命史の原因の一つに王妃マリー＝アントワネットのファッションへの浪費が挙げられてい…

階級離脱への「鞭」が生んだ新たな悲惨の物語幕末・明治の日本を訪れた欧米人の目に最も奇妙に映ったのは日本人が子どもを非常に甘やかしているとい…

「ガイド」大転換が伝えるフランスの現在「知らない町に行ったら、レストランでもホテルでもミシュランの一つ星を選んでおけばまず間違いない」。こ…

同時代の「なにか」を連想させる現代の寓話一九七〇年頃、テレビの深夜放送で「訪れ」という一九六四年製作の映画を見た。名作『橋』のベルンハルト…

大国に翻弄された仏秘史を綴れ織りにベルリン陥落やスペイン内戦のノンフィクションで知られるイギリス人歴史家が夫人の作家アーテミス・クーパー（…

思念により現実と結ばれる「夢」探究の書著者のエルヴェ・ド・サン＝ドニ侯爵（1822―1892）はコレージュ・ド・フランス教授にまで上りつめた十九世…

大文豪の奇書に挑んだ名訳自ら恃（たの）むところのある作家というものは、どういうわけか決まって二つのことに挑戦したがるものらしい。ポルノと擬…

分裂の思想家像、解釈への決定版ルソーはラディカル（根源的）な思想家である。ゆえに歴史の曲がり角でしばしば召喚され、フランス革命では「人民主…

「永遠の義務」論を説いた根源的思想家ミュージカル映画『レ・ミゼラブル』が大ヒットし、場内は涙、また涙だという（ALL REVIEWS事務局注：本書評…

ソ連崩壊「予言の書」から現代を解読する本書はアメリカの金融破綻を「予言」したことで日本でも一躍有名になったフランスのエマニュエル・トッドが…

自由を求めた文明社会は何を失ったのか授業で「ALWAYS 三丁目の夕日」が話題にのぼったので、昭和三十年代を体験した人間として「希望のある良い時…

魔術的な「文明のインフラ」の過去と未来人類最大の発明が文字だとすると、印刷術の発明がそれに次ぐ。しかし、紙の発明と改良がなかったら、世界は…

情と理の文体から匂いたつ豊饒の「謹訳」完結数学や統計学には既知データを基にして未知の数値を割り出す方法として内挿（インターポレーション）と…

性のユートピアを求めた「SFの巨人」の軌跡小説家というのは奇妙な存在で、自分の生きた物語を語るのではなく、自分の語った（あるいは語ろうとして…

人間・机龍之助を復刻する、剣と女の魔物語中里介山の『大菩薩峠（だいぼさつとうげ）』を全巻読み切ったという読者はいったいどれくらいいるのだろ…

フランスを家族類型の人口統計で分析本書は家族人類学者エマニュエル・トッドと人口統計学者エルヴェ・ル・ブラーズが共同で市町村の統計に基づいた…

獄中生活がもたらした「共生」へのパンセ二〇〇六年一月、時代の寵児（ちょうじ）だった著者は東京地検特捜部に証券取引法違反で逮捕され、懲役二年…

忘却の淵から訳者に発掘された稀覯本雑誌『ふらんす』（白水社）には「さえら」と題するページがあり、その月に刊行されたフランス関連書を網羅して…