書評
『日本のロック名盤ベスト100』(講談社)
“レコードじゃんけん”による順位はいかに?
タイトルをみて、共感や反感はあるだろうなと思う。「ベスト100」、しかもオールタイム・ベスト! つまり、これまで作られてきた「日本のロック」の歴史の中から、100枚だけ選んでみた、という本なのである。構成を少し。第一部が「日本のロック名盤ベスト100」。第二部が「米英のロックと比較し検証した日本のロック全歴史」。やはりどうしても興味深いのは、第一部だろう(このあたり「ランキング」好きな国民性から逃れることができないのか。オレもそうだが……)。
まず誰もが気になるのは、100枚の選考基準。著者はまず、「名盤」の資格要件を五つ設定する。音楽的一徹さと研究熱心さ、オリジナリティ、革新性、コア度、影響度。コア度までが100点満点。影響度だけが200点満点。合計で600点に。点数化したうえで、検証する。その「検証方法」は、著者が「レコードじゃんけん」と呼んでいるもの。右手と左手に二枚のアルバムを持ち、暫定順位とは「逆順」に上下に重ね合わせてみる。これでいいのか、と自問する。数値を見比べる。どうもおかしいと思う場合には、数値を微調整する。こうして慎重に修正されたスコアを元に、100枚は決定されている。ひとつのバンドから一枚、そしてロックを聴かない人が初めて聴いて「入口」となるようなアルバムが選ばれた。
と、説明だけしてランキングには一切口を出さないで終わりにしようと思ったが、やっぱりちょっとだけでも触れておこうかな。
オレの愛聴盤の順位だけ。暗黒大陸じゃがたら「南蛮渡来」(82年)が30位、ミュート・ビート「FLOWER」(87年)が26位、近田春夫&ビブラストーン「Vibra Is Back」(89年)が63位。第1位は、やっぱりあのアルバムだった……。
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