書評
『平成遺産』(淡交社)
神田うの的な姿勢こそ必要
新元号が決まった(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2019年)。この本が出たのは3月の初めだから、執筆者のみなさんは平成の最後の最後に、平成のしぶとさみたいなものを語って(じつはあんまり元号に関心など寄せていないのかもしれないが)、新元号に備えている感じがある。いや、タイトルとは別に本書は時代を区分する新しさに執拗に抗議している、とも言える。政治学者の栗原康や、ライターのブレイディみかこが平成について普通に書くわけがない。同じことは武田砂鉄にも言える。
武田が挙げるのは、SMAPでも安室奈美恵でもなく、神田うのである。神田うの的なるもの――時代や元号とは無縁に、自分のための整合性を希求する姿勢こそ、私たちに必要なのだ、と。
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