書評

『宗教が往く』(マガジンハウス)

  • 2026/04/02
宗教が往く / 松尾 スズキ
宗教が往く
  • 著者:松尾 スズキ
  • 出版社:マガジンハウス
  • 装丁:単行本(426ページ)
  • 発売日:2004-03-30
  • ISBN-10:4838713746
  • ISBN-13:978-4838713745
内容紹介:
これは愛なのか?壮大な冗談に仕組まれた罠なのか?禍のど真ん中へ歩を進めたフクスケに、果たして神のご加護は訪れるのか!?松尾スズキ初の長篇小説。完成を危ぶまれた傑作、5年の時を経て、ついに刊行。

「私」語り突き放す実験小説

自伝的要素いっぱいの長編小説。人気の劇作家が怒涛の実人生をフィクションの形で語っている。ただ、どこまでも、そしてあくまでもフィクションとして語ることに著者はこだわる。小説の語り手がどうして著者と等身大の「私」でなければならないか。そんなの嘘じゃん。松尾スズキは「私」が語る小説をとことん突き放す。フクスケという主人公はこうして生まれ、ハチャメチャな生活の中から劇団を立ち上げ、出鱈目な大団円へ向かって突き進む。

実在の、それとわかる登場人物もさることながら、松尾スズキの造形する奇妙な登場人物たちが魅力的。それから小説にしか出来ないことが随所に仕掛けられていて、一種の実験小説になっていて、驚かされる。

彼の劇団「大人計画」の芝居を直接観たことのない人でも、じゅうぶん楽しめる。それくらい小説のクオリティが高いのだ。それに、いま流行の「私」語りの小説にうんざりしている人にも、是非、お勧めしたい。それにしても職業作家たちはどうしてかくも自分のことばかり書くようになってしまったのか。そうした風潮を笑い飛ばす快作。

【文庫版】
宗教が往く〈上〉  / 松尾 スズキ
宗教が往く〈上〉
  • 著者:松尾 スズキ
  • 出版社:文藝春秋
  • 装丁:文庫(346ページ)
  • 発売日:2010-11-10
  • ISBN-10:4167801086
  • ISBN-13:978-4167801083
内容紹介:
巨頭の少年フクスケは15歳にして生家を追われ、未知の大都会東京へと旅立つ。そこで出会った男のいざこざに巻き込まれ、伝染病が蔓延する中、死体の供養をしながら混乱と衰退と過剰が支配する日常を過ごしていた。そして、25歳になったフクスケは『劇団大人サイズ』を結成する…。文学史上、類を見ない冒険奇譚が今始まる。

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宗教が往く / 松尾 スズキ
宗教が往く
  • 著者:松尾 スズキ
  • 出版社:マガジンハウス
  • 装丁:単行本(426ページ)
  • 発売日:2004-03-30
  • ISBN-10:4838713746
  • ISBN-13:978-4838713745
内容紹介:
これは愛なのか?壮大な冗談に仕組まれた罠なのか?禍のど真ん中へ歩を進めたフクスケに、果たして神のご加護は訪れるのか!?松尾スズキ初の長篇小説。完成を危ぶまれた傑作、5年の時を経て、ついに刊行。

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2004年5月20日

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