書評

『ニンジアンエ』(集英社)

  • 2026/07/03
ニンジアンエ / 古処 誠二
ニンジアンエ
  • 著者:古処 誠二
  • 出版社:集英社
  • 装丁:単行本(296ページ)
  • 発売日:2011-11-25
  • ISBN-10:4087714292
  • ISBN-13:978-4087714296
内容紹介:
インパール作戦前年のビルマ。新聞記者の美濃部は日本軍の英印軍討伐に同行する。捜索が順調に進むほどに、美濃部の胸中にいくつもの疑問が生じていく。捕虜になったイギリス人は、なぜ不遜な態度を崩さないのか?ビルマ人の人質はどこに消えたのか?すべての謎が解けた時、美濃部は「戦地の真実」を突きつけられる。それぞれの正義と信念を圧倒的な筆力で浮き彫りにした傑作長編。

戦争の日常緻密に淡々と

昭和18年。ビルマ戦線に宣撫班(せんぶはん)として同行した、若き新聞記者・美濃部。戦況はまだどこかに長閑(のどか)さを宿していたが、ビルマに侵攻してきた英印軍討伐の任を帯びた後藤班に帯同することになってから状況は一変。

緊迫した敵との遭遇。密偵や買収した現地の人々とのやりとり。そんななか、イギリス人将校・コーンウェル中尉と彼の部下のインド兵を捕虜にする。

コーンウェル中尉は自身の置かれた環境に抗(あらが)うかのように、終始自信に満ちた態度を崩さない。彼の態度のウラには何があるのか。軍隊に同行し状況を粉飾しながら「書く」という行為をめぐって、美濃部とコーンウェルは意見を戦わせる。

小説はそうした人間関係を折り目正しい文体で正確に描き出す。余計な解釈や過剰な演出はない。これは古処戦争文学の特徴だ。読者を必要以上に刺激しようとする意志がない。じつに冷静な書き方は最後まで遵守(じゅんしゅ)される。

じつは最後にどんでん返しもある。そのドラマが感動的に読めるとすれば、おそらく戦争の日常が淡々と叙述されているからだと思う。戦争を緻密に描く筆致に感服。
ニンジアンエ / 古処 誠二
ニンジアンエ
  • 著者:古処 誠二
  • 出版社:集英社
  • 装丁:単行本(296ページ)
  • 発売日:2011-11-25
  • ISBN-10:4087714292
  • ISBN-13:978-4087714296
内容紹介:
インパール作戦前年のビルマ。新聞記者の美濃部は日本軍の英印軍討伐に同行する。捜索が順調に進むほどに、美濃部の胸中にいくつもの疑問が生じていく。捕虜になったイギリス人は、なぜ不遜な態度を崩さないのか?ビルマ人の人質はどこに消えたのか?すべての謎が解けた時、美濃部は「戦地の真実」を突きつけられる。それぞれの正義と信念を圧倒的な筆力で浮き彫りにした傑作長編。

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2011年12月21日

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