書評

『死んでも何も残さない 中原昌也自伝』(新潮社)

  • 2026/09/08
死んでも何も残さない 中原昌也自伝 / 中原 昌也
死んでも何も残さない 中原昌也自伝
  • 著者:中原 昌也
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:単行本(171ページ)
  • 発売日:2011-03-01
  • ISBN-10:4104472034
  • ISBN-13:978-4104472031
内容紹介:
青山生まれ。「暴力温泉芸者」で世界デビューし、蓮實重彦も一目置くシネフィルにして画伯。三つも文学賞を受賞しているのに、なぜかホームレス寸前。《書きたくて書いているんじゃないことしか書きたくないことが、どうして、わかってもらえないのか》――もはや生ける伝説となった最後の無頼派作家/ミュージシャンの魂の軌跡全告白!

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創作の秘密解き明かす「自伝」

中原昌也、40歳。作家にしてミュージシャン、そして画家。でも、「自伝」は早すぎるでしょ、やっぱり。

ただし、ここに書かれてあることは、興味深い。中原が東京の、典型的な「都会の子」として生まれ、80年代の混沌とした文化状況の中で多感な10代を送ったことが、彼の生み出す作品に決定的な影響を与えている。そのことはだいたい推測できることなのだが、本人の口から、そのあたりの関連性を語ってもらうと、腑(ふ)に落ちる部分が多い。

たとえば、あるノイズ・ミュージックについて、中原はこんなことを語っている。そのバンドの音楽を聴くのは「単調」だからだ、と。予測不能の即興から遠く離れて、延々と続く単調さに浸っていると、巨大なハテナマークが出てくる。そこが面白い、と。

きちんと構成されたものなど、何も面白くない。一文を書きしるす。その先の一文は書いてから呻吟(しんぎん)して生み出される。着地する場所など、決まっていない。

いまどき珍しい無頼派のような生活の一端も、惜しみなく語っている。中原の小説のファンのみならず、未読の方々にも彼の創作の秘密は興味深いだろう。
死んでも何も残さない 中原昌也自伝 / 中原 昌也
死んでも何も残さない 中原昌也自伝
  • 著者:中原 昌也
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:単行本(171ページ)
  • 発売日:2011-03-01
  • ISBN-10:4104472034
  • ISBN-13:978-4104472031
内容紹介:
青山生まれ。「暴力温泉芸者」で世界デビューし、蓮實重彦も一目置くシネフィルにして画伯。三つも文学賞を受賞しているのに、なぜかホームレス寸前。《書きたくて書いているんじゃないことしか書きたくないことが、どうして、わかってもらえないのか》――もはや生ける伝説となった最後の無頼派作家/ミュージシャンの魂の軌跡全告白!

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2011年4月20日

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