書評

『バスク七色』(東京パブリッシングハウス)

  • 2026/11/06
バスク七色 / 港 千尋
バスク七色
  • 著者:港 千尋
  • 出版社:東京パブリッシングハウス
  • 装丁:単行本(107ページ)
  • 発売日:2012-10-21
  • ISBN-10:4902663058
  • ISBN-13:978-4902663051
内容紹介:
スペインとフランスの国境に分断されながら海と山とに恵まれた特異の風土を写真と綴る

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

贅沢な造本、味わい深い文章

トウキョウ・パブリッシング・ハウスという小さな出版社から魅力的な本が出た。紹介するのは、3冊同時刊行の叢書(そうしょ)の1冊。港千尋の紀行文だ。

手に取ると、物質としての質感にしばし読むのを忘れて陶然とする。布クロス製、箔押し、透明ケース。本を開くと、上質な紙と、写真の美しさに魅せられる。

港の文章は、いつもそうだが、簡潔だが味わい深い。むろん写真も(港は写真家だ)。バスク地方は、フランスとスペインの間にある山岳地帯で、著者はピレネーから少しずつ移動する。ツール・ド・フランスの伝説の王者の名にちなんだ料理など、食欲も刺激される。

極私的ともいえる写真が素晴らしいのは当然だが、過度に贅沢(ぜいたく)にならない旅と、この造本の贅沢さがなんだか奇妙に合っている気がした。

電子書籍が本格的に普及し始めた今年。細部まで徹底的にこだわって作った本、というのがちょっと嬉(うれ)しい。ダウンロードした「書物」も結構な量、読むけれど、手にして開いて、愛(いと)おしく思える存在は捨てがたい。一度、触れてみることをお勧めする。書物の未来とは案外、こんな形なのかもしれない。
バスク七色 / 港 千尋
バスク七色
  • 著者:港 千尋
  • 出版社:東京パブリッシングハウス
  • 装丁:単行本(107ページ)
  • 発売日:2012-10-21
  • ISBN-10:4902663058
  • ISBN-13:978-4902663051
内容紹介:
スペインとフランスの国境に分断されながら海と山とに恵まれた特異の風土を写真と綴る

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2012年12月12日

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