
1961年生まれ。ライター、ブックレビュアー。「週刊新潮」「中日新聞」「DIME」などで書評を連載。著書は『そんなに読んで、どうするの?』『どれだけ読めば、気がすむの?』(以上アスペクト)、『文学賞メッタ斬り』『百年の誤読』(以上、共著、ちくま文庫)、『勝てる読書』(河出書房新書)、『読まずに小説書けます…もっと読む
『老人ホーム 一夜の出来事』(東京創元社)
豊崎 由美へえ~え、こんなにユニークな作家がいたんだ! その名もB・S・ジョンソン。海外文学は翻訳を通じてしか読めないという方の大半にとっては、名前すら…
書評
『小さいおうち』(文藝春秋)
豊崎 由美遅れて生まれてきた者にとって、歴史は常に大文字です。しかも、なんか、こう、太ゴシック体でごついイメージの。「一九三六年 二・二六事件」「一九…
書評
『食糧棚』(白水社)
豊崎 由美幼い頃「ごんぎつねは三度の飯よりいたずらが好きだそうですが、わたしは三度の飯より四度の飯が好きです」という噴飯ものの感想文を書いたくらいで…
書評
『残光』(新潮社)
豊崎 由美私は保坂さんのいうことは信じるに足る、といつも思うくせがついている。不思議なことに一つを除いてそうなのだ。その一つとは、私が日本で信じるに…
書評
『マーティン・ドレスラーの夢』(白水社)
豊崎 由美物語の舞台は十九世紀末から二十世紀初めのニューヨーク。主人公は父親が経営している葉巻タバコ商店の手伝いをしながら、並外れた商才を発揮する少…
書評
『私たちがやったこと』(マガジンハウス)
豊崎 由美『体の贈り物』。レベッカ・ブラウンは、この一冊の短篇集によって、日本の読者に広く知られるようになった作家だ。エイズ患者の身の回りの世話をす…
書評
『ジョン・ランプリエールの辞書』(東京創元社)
豊崎 由美一八世紀、イギリス自治領チャンネル諸島のひとつジャージー島。学究の徒ジョン・ランプリエールは子爵家の美少女に恋い焦がれているのだが、ある日…
読書日記
『パイの物語』(竹書房)
豊崎 由美皆さん、これ、児童書じゃありませんから。あと、お菓子の話でもありませんから。パイはπ、主人公の十六歳の少年ピシン・モントール・パテルの愛称な…
書評
『ことばのたくらみ―実作集』(岩波書店)
豊崎 由美イタロ・カルヴィーノ『カルヴィーノの文学講義』(朝日新聞社)の中にこんな言葉がある。ときとして私には、何かしら疫病のようなものが、人類をも…
書評
『灰色の魂』(みすず書房)
豊崎 由美以前、某ミステリー評論家にこんなことを言われたことがあります。「お前はさあ、文章がまずいだの、文体意識が低すぎるだの、何だかんだ細かいこと…
書評
『彼方なる歌に耳を澄ませよ』(新潮社)
豊崎 由美スコットランド高地からの移民が多く住むカナダ東端の島ケープ・ブレトンで育った、一九三六年生まれの作家アリステア・マクラウドの小説を読むと、…
書評
『アバラット』(ソニーマガジンズ)
豊崎 由美『指輪物語』で有名なトールキンはファンタジーの三つの機能として、勇気ある〈逃避〉、慣習によって曇ってしまった目を浄化する〈回復〉、幸福な結…
書評
『寝ても覚めても: 増補新版』(河出書房新社)
豊崎 由美一九九九年四月、大阪。就職したばかりの朝子(語り手〈わたし〉)は、一日に二度偶然出会った青年に一目惚れをする。〈好みとかそんなんじゃなくて…
書評
『僕はマゼランと旅した』(白水社)
豊崎 由美いろんな声の持ち主がいる。一心に耳をすまさないと聞こえないくらい小さな声。陽気で明るいはっきりした声。耳障りなのに、どこか心惹かれるだみ声…
書評
『時評書評: 忖度なしのブックガイド』(教育評論社)
豊崎 由美紙の媒体に書評を寄稿するだけだったわたしが、ウェブニュースメディアの「QJ Web(クイック・ジャパンウェブ)」で月1回の連載を持ったのは2020年…
後書き
『琥珀捕り』(東京創元社)
豊崎 由美凄い本読んじゃった。キアラン・カーソンの『琥珀捕り』。A~Zまでを頭文字にとったタイトルからなる全二十六章で構成されていて、その中身はといえ…
書評
『その名にちなんで』(新潮社)
豊崎 由美「やあ、ゴーゴリ」と小さく呼びかけながら、いばりくさった顔で産着にくるまれている息子をのぞき込む。「ゴーゴリ」と、もう一度口にする。いい感…
書評
『シェル・コレクター』(新潮社)
豊崎 由美ここには、盲目の老貝類学者がいる。死にゆくものの魂が最後に思い浮かべる光景を感受できる女性がいる。フライ・フィッシングを通じて成長する十四…
書評
『すべて真夜中の恋人たち』(講談社)
豊崎 由美帯には〈孤独な魂がふれあったとき、切なさが生まれた。その哀しみはやがて、かけがえのない光となる。〉とあるけれど、そんな美しい文言で言い尽く…
書評
『直筆商の哀しみ』(新潮社)
豊崎 由美わたしは哀しい。まさに、“売文商”の哀しみ。というのも、新人のものとは思えぬ傑作として、本国イギリスのみならず国際的にも高い評価を受けたゼイ…
書評


















