書評
『独り舞』(光文社)
台湾作家による日本語小説
大げさな言い方になるけれど、日本語文学としか言いようのない作品はこれからますます多くなるだろう。日本語は国籍とは関係ない。日本語を必要とする人たちに、日本語の門が開かれていることを望みたい。著者は5年前に台湾から来日、本作は初めて書いた日本語小説、という。その小説で群像新人文学賞優秀作を受賞した。
主人公は、仲のいい同級生と死別し、死に魅入られている。学校では疎外感をおぼえ、一方で、性的マイノリティとして生きている。そして、日本へ……。
邱妙津(きゅうみょうしん)という名の若くして自死した台湾の作家に導かれるようにして、村上春樹を読み始めたエピソードなど、多言語文学の交差点に立つ。世界文学に連なる小説。
ALL REVIEWSをフォローする







































