書評
『1974フットボールオデッセイ』(双葉社)
ひと味違うサッカー小説
ドイツ・ワールドカップが近づいて、サッカー本は再び活況を呈している。特定の選手に光を当てたもの、戦術や国民性にこだわったもの、いろいろだ。だが、この本は一味違っている(ALLREVIEWS事務局注:本書評執筆年は2006年)。一九七四年。ワールドカップ、西ドイツ大会。決勝は地元西ドイツとオランダのカードだった。ベッケンバウアーやゲルト・ミュラーを擁する西ドイツに対して、ヨハン・クライフという不世出の天才を抱えたオランダ。だが、圧倒的な力をみせつけて勝ち上がってきたオランダは、1―2で西ドイツに敗れた。どうして敗れたのか。「トータルフットボール」という、その後のサッカーの世界を席巻することになる革命的戦法を身につけたチームは、なぜ、負けたのか。
著者は、その謎を解き明かすために主だった選手へのインタビューを敢行し、三十二年の時間を超えて、その決勝戦へと肉薄する。
そう、これは小説である。登場人物の二十二人+アルファをきちんと動かして、紙の上で、三十二年前の決勝を再現しようとしている。ヨーロッパサッカーに通暁した著者だからこそ書くことができた、異色のサッカー小説である。
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